2012年6月12日火曜日

太宰をずっと馬鹿にしてたんだけどさ

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 21:57:06.00 ID:KEm3lciQ0

女生徒読んで見る目が変わってしまった
面白いな




2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 21:58:13.37 ID:KEm3lciQ0

こことか凄いなって思ったよ



肉親って、不思議なもの。
他人ならば、遠く離れるとしだいに淡く、忘れてゆくものなのに、
肉親は、なおさら、懐かしい美しいところばかり思い出されるのだから。



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 21:59:18.12 ID:KEm3lciQ0

こことか


女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさんなのだ。





4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 21:59:59.48 ID:KEm3lciQ0

いいなあ



いま、という瞬間は、面白い。
いま、いま、いま、と指でおさえているうちにも、いま、は遠くへ飛び去って、あたらしい「いま」が来ている。
ブリッジの階段をコトコト昇りながら、ナンジャラホイと思った。ばかばかしい。私は、少し幸福すぎるのかも知れない。



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:01:31.10 ID:KEm3lciQ0

ここは少しラノベ臭い




観念だけの生活で、無意味な、高慢ちきの知ったかぶりなんて、軽蔑、軽蔑。
やれ生活の目標が無いの、もっと生活に、人生に、積極的になればいいの、自分には矛盾があるのどうのって、
しきりに考えたり悩んだりしているようだが、おまえのは、感傷だけさ。
自分を可愛がって、慰めているだけなのさ。
それからずいぶん自分を買いかぶっているのですよ、ああ、こんな心の汚い私をモデルにしたりなんかして、
先生の画は、きっと落選だ。美しいはずがないもの。



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:02:45.25 ID:KEm3lciQ0

暇だから青空で読んだ他の名文も貼って行こう



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:03:49.77 ID:KEm3lciQ0

「桜の花が咲くのだよ」
「桜の花と約束したのかえ」
「桜の花が咲くから、それを見てから出掛けなければならないのだよ」
「どういうわけで」
「桜の森の下へ行ってみなければならないからだよ」
「だから、なぜ行って見なければならないのよ」
「花が咲くからだよ」
「花が咲くから、なぜさ」
「花の下は冷めたい風がはりつめているからだよ」
「花の下にかえ」
「花の下は涯(はて)がないからだよ」
「花の下がかえ」

桜の森の満開の下 坂口安吾



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:05:05.16 ID:KEm3lciQ0

美しい娘の首がありました。清らかな静かな高貴な首でした。
子供っぽくて、そのくせ死んだ顔ですから妙に大人びた憂いがあり、閉じられたマブタの奥に楽しい思いも悲しい思いも
マセた思いも一度にゴッちゃに隠されているようでした。女はその首を自分の娘か妹のように可愛がりました。
黒い髪の毛をすいてやり、顔にお化粧してやりました。
ああでもない、こうでもないと念を入れて、花の香りのむらだつようなやさしい顔が浮きあがりました。



桜の森の満開の下 坂口安吾



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:05:46.27 ID:Kr5d/x1m0

パンドラの匣マジオススメ



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:06:14.33 ID:KEm3lciQ0

面白いらしいね
すごい楽しみにしてるよ



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:06:39.37 ID:KEm3lciQ0

あなたに行き違い、こなたに落ち合い、あるいは歩し、あるいは停し、往復あたかも織るがごとし。


外科室 泉鏡花



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:07:17.23 ID:OEmhY1i40

三島由紀夫は大学を卒業する直前、太宰治と直接会う。

「僕は太宰さんの文学は嫌いなんです」
これに対して太宰は虚をつかれたような表情をして誰へ言うともなく
「そんなことを言ったって、こうして来てるんだから、やっぱり好きなんだよな。なあ、やっぱり好きなんだ」と答えた。

しかし、その場に居合わせた野原一夫によれば、
「きらいなら、来なけりゃいいじゃねえか」と吐き捨てるように言って顔をそむけたという。

「私が太宰治の文学に対して抱いている嫌悪は、一種猛烈なものだ。第一私はこの人の顔がきらいだ。
 第二にこの人の田舎者のハイカラ趣味がきらいだ。
 第三にこの人が、自分に適しない役を演じたのがきらいだ。
 女と心中したりする小説家は、もう少し厳粛な風貌をしていなければならない。

 私とて、作家にとっては、弱点だけが最大の強みになることぐらい知っている。
 しかし弱点をそのまま強みへもってゆこうとする操作は、私には自己欺瞞に思われる。
 どうにもならない自分を信じるということは、あらゆる点で、人間として僭越なことだ。
 ましてそれを人に押しつけるにいたっては!

 太宰のもっていた性格的欠点は、少なくともその半分が、冷水摩擦や器械体操や規則的な生活で治される筈だった。
 生活で解決すべきことに芸術を煩わしてはならないのだ。
 いささか逆説を弄すると、治りたがらない病人などには本当の病人の資格がない。」



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:09:07.23 ID:KEm3lciQ0

>>14
ああ、愛する三島由紀夫だ



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:07:18.92 ID:bavqrGJc0

桜の樹の下には屍体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:08:02.61 ID:KEm3lciQ0

夜になると星の光りや、浪の音や、虫の声や、風の葉ずれや、木の実の落ちる音が、一ツ一ツに聖書の言葉をささやきながら、
私たち二人を取り巻いて、一歩一歩と近づいて来るように思われるのでした。そうして身動き一つ出来ず、微睡(まどろ)むことも出来ないままに、
離れ離れになって悶えている私たち二人の心を、窺視(うかがい)に来るかのように物怖ろしいのでした。
 こうして長い長い夜が明けますと、今度は同じように長い長い昼が来ます。そうするとこの島の中に照る太陽も、唄う鸚鵡(おうむ)も、
舞う極楽鳥も、玉虫も、蛾も、ヤシも、パイナプルも、花の色も、草の芳香も、海も、雲も、風も、虹も、みんなアヤ子の、まぶしい姿や、
息苦しい肌の香とゴッチャになって、グルグルグルグルと渦巻き輝やきながら、四方八方から私を包み殺そうとして、襲いかかって来るように思われるのです。
その中から、私とおんなじ苦しみに囚われているアヤ子の、なやましい瞳が、神様のような悲しみと
悪魔のようなホホエミとを別々に籠めて、いつまでもいつまでも私を、ジイッと見つめているのです。

瓶詰地獄 夢野久作



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:10:07.17 ID:Kr5d/x1m0

>>16
この人の書く女性ってなんか良いよな



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:11:51.17 ID:KEm3lciQ0

>>20
名の通り、夢見がちな気狂いの文章を書く人だと思う



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:09:51.53 ID:NAqOa6ae0

芥川のあばばばばが好き



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:11:51.17 ID:KEm3lciQ0

>>19
あれは面白かった
憎いラストだった



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:12:59.04 ID:KEm3lciQ0

私は姉をかき抱いて泪ながらに、そのザラザラな粗悪な白壁のような頬へ接吻した。姉は私の胸の中で、身もだえして唸った。

可哀相な姉 渡辺温



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:14:24.38 ID:KEm3lciQ0

高いリアリズムが、女のこの不埒と浮遊を、しっかり抑えて、かしゃくなくあばいて呉れたなら、私たち自身も、
からだがきまって、どのくらい楽か知れないとも思われるのですが、女のこの底知れぬ「悪魔」には、誰も触らず、
見ないふりをして、それだから、いろんな悲劇が起るのです。
高い、深いリアリズムだけが、私たちをほんとうに救ってくれるのかも知れませぬ。
女の心は、いつわらずに言えば、結婚の翌日だって、他の男のひとのことを平気で考えることができるのでございますもの。

皮膚と心 太宰治



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:15:13.77 ID:KEm3lciQ0

数時間の後、ランプの消えた部屋の中には、唯かすかな蟋蟀(こほろぎ)の声が、寝台を洩れる二人の寝息に、
寂しい秋意を加へてゐた。
しかしその間に金花の夢は、埃じみた寝台の帷(とばり)から、屋根の上にある星月夜へ、煙のやうに高々と昇つて行つた。

南京の基督 芥川龍之介



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:16:20.38 ID:KEm3lciQ0

もっともっと太宰の名文を知りたい



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:16:54.30 ID:Sn/NwErSP

それまでにも老師を殺そうという考えは全く浮かばぬではなかったが、
忽ちその無効が知れた。何故ならよし老師を殺しても、あの坊主頭とあの無力の悪とは、
次々と数かぎりなく、闇の地平から現れて来るのがわかっていたからである。
おしなべて生あるものは、金閣のように厳密な一回性を持っていなかった。
人間は自然もろもろの属性の一部を受け持ち、かけがえのきく方法でそれを伝播し、
繁殖するにすぎなかった。殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の誤算である。
そのようにして金閣と人間存在とはますます明確な対比を示し、
一方では人間の滅びやすい姿から、却って永生の幻がうかび、金閣の不壊の美しさから、
却って滅びの可能性が漂ってきた。人間のようにモータルなものは根絶することができないのだ。
どうして人はそこに気がつかぬのだろう。私の独創性は疑うべくもなかった。
明治三十年に国宝に指定された金閣を私が焼けば、それは純粋な破壊、
とりかえしのつかない破滅であり、人間の作った美の総量の目方を減らすことである。



29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:17:26.33 ID:KEm3lciQ0

>>28
一目で金閣寺だとわかる
でももっと良い個所あるよね



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:21:02.16 ID:Sn/NwErSP

>>29
最も名文とされてるのはここだよ



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:25:35.23 ID:KEm3lciQ0

>>36
そうだったのか 浅学を恥じる
申し訳ない



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:18:50.83 ID:4hi6yMd7P

それより赤川次郎ってそれほどすごい人なのか教えてくれ



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:19:54.56 ID:KEm3lciQ0

>>30
俺はあんまり好きじゃないけど、ミステリ好きからしたら凄いのかな?



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:18:55.54 ID:LpYpTRU70

名文を紹介してくるのはありがたいが、俺の近所の図書館で、俺の借りたい小説の名言っぽいところに線を引いてるヤツは勘弁願いたい



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:19:54.56 ID:KEm3lciQ0

>>31
大丈夫、全部青空文庫だから



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:18:59.13 ID:KEm3lciQ0

私たちは、決して刹那主義ではないけれども、あんまり遠くの山を指さして、あそこまで行けば見はらしがいい、と、それは、きっとその通りで、
みじんも嘘のないことは、わかっているのだけれど、現在こんな烈しい腹痛を起しているのに、その腹痛に対しては、見て見ぬふりをして、
ただ、さあさあ、もう少しのがまんだ、あの山の山頂まで行けば、しめたものだ、とただ、そのことばかり教えている。
きっと、誰かが間違っている。わるいのは、あなただ。

女生徒 太宰治



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:19:32.98 ID:Ket+l5KE0

道化の華呼んでみろ



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:24:31.31 ID:KEm3lciQ0

>>33
探すうちにさらっと目に留まった「川端康成へ」という手紙の写しが、ちょうど道化の華についてだったことに驚いた
いや、それだけなのだけれどさ あとで読んでみるね



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:20:42.59 ID:e3HrU8hR0

太宰は短編のほうが面白いよね
「葉桜と魔笛」が好き



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:22:22.39 ID:jcrfoalG0

太宰で1番すごいのは斜陽だと思う
でも富岳百景等に見られるボンボンくさいのんびりとして上品な性格もひとつの魅力だと思う



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:27:20.60 ID:KEm3lciQ0

>>37
ボンボンくさいというか、ボンボンぶっているというか
そういうところが人間臭い人だよね



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:24:11.67 ID:mEUkFtlb0

芥川は蜜柑とか河童がいいな
あばばばばもいいな



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:25:24.25 ID:Ket+l5KE0

太宰は気分悪くなる作品が多い
でも読んじまう



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:27:20.60 ID:KEm3lciQ0

>>42
畜生談が胸糞悪いながらに好きだなあ



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:26:28.46 ID:mEUkFtlb0

太宰というか、人間失格が嫌い



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:27:37.89 ID:KEm3lciQ0

>>44
俺もその口だったよ



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:29:15.73 ID:mEUkFtlb0

>>46
べつに人間失格以外は嫌いじゃないんだがな・・・
ただあの自虐風自慢は読んでて気持ちのいいもんじゃないなっていう



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:31:58.20 ID:KEm3lciQ0

>>49
俺は最初小学生の時に読んで投げ捨てたよ
一番鼻もちならないタイプのナルシストだと思ったよ



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:28:04.80 ID:KEm3lciQ0

森見はなんとなく太宰に似ていると思うのだけれどどうだろうか



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:29:10.18 ID:Ket+l5KE0

森見は確実に影響を受けてる



50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:31:58.20 ID:KEm3lciQ0

>>48
絶対そうだよね 女の書き方とか、煙に巻くようなシニカルな笑いを入れてるところとか



52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:35:12.25 ID:NAqOa6ae0

続けて続けて



53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:36:04.83 ID:KEm3lciQ0

名文羅列していけばいいのかな?



54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:37:50.92 ID:KEm3lciQ0

夢は、れいのフロイド先生のお説にしたがえば、この現実世界からすべて暗示を受けているものなのだそうであるが、しかしそれは、母と娘は同じものだという暴論のようにも私には思われる。
そこには、つながりがありながら、また本質的な差異のある、別箇の世界が展開せられている筈である。
私の夢は現実とつながり、現実は夢とつながっているとはいうものの、その空気が、やはり全く違っている。
夢の国で流した涙がこの現実につながり、やはり私は口惜しくて泣いているが、しかし、考えてみると、あの国で流した涙のほうが、私にはずっと本当の涙のような気がするのである。

フォスフォレッスセンス 太宰治



55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:38:47.62 ID:RCFHK8or0

お伽草子とか新釈諸国噺みたいな中期は普通に面白い
あとメロスより駆け込み訴えのほうが遙かに面白い



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:42:47.05 ID:KEm3lciQ0

>>55
太宰はキリスト関連をモチーフにすると特に面白いと思う
後期はやっぱり面白くないの?



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:44:41.21 ID:RCFHK8or0

>>59
面白くないというより俺にはピンとこない
女の決闘は普通に面白かったけど



56:キュア坊主 ◆Ocure013Nwik :2012/06/10(日) 22:40:21.55 ID:xcJLKxdt0

俺はここが好き

「聖母子」私は、其の実相を、いまやっと知らされた。たしかに、無上のものである。
ダヴィンチは、ばかな一こくの辛酸を嘗めて、ジョコンダを完成させたが、むざん、神品ではなかった。
神と争った罰である。魔品が、できちゃった。
ミケランジェロは、卑屈な泣きべその努力で、無智ではあったが、神の存在を触知し得た。
どちらが、よけい苦しかったか、私は知らない。けれども、ミケランジェロの、こんな作品には、
どこかしら神の助力が感じられてならぬのだ、人の作品でないところが在るのだ。ミケランジェロ自身も、
おのれの作品の不思議な素直さを知るまい。ミケランジェロは、劣等生であるから、神が助けて描いて
やったのである。これは、ミケランジェロの作品では無い。


太宰治『俗天使』



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:42:47.05 ID:KEm3lciQ0

>>56
君には随分とオススメを教えてもらったよ
ありがとう



57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:40:34.48 ID:Lr70u7CD0

恥の多い生涯を



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:40:52.24 ID:KEm3lciQ0

仕事には全力を賭けること、これは仕事というもの、つまり生きることを真に理解するものには当然のこと、
むしろ、生のほかに死後というものを考える人の方に、生きることの全的な没入や努力は分らないのだろうと思う。
生きること、全我を賭けて努力し生きることを知るものには、死後はないと私は思う。

私の葬式 坂口安吾



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:44:38.35 ID:rkgeWIyb0

安吾であれば「不良少年とキリスト」に限るよ、君



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:47:01.76 ID:KEm3lciQ0

>>60
この間オススメしてもらって読んだよ
面白いねえ 特にここのゲッの部分じゃにやりとしてしまったよ



「人間失格」「グッドバイ」「十三」なんて、いやらしい、ゲッ。他人がそれをやれば、太宰は必ず、そう言う筈ではないか。
 太宰が死にそこなって、生きかえったら、いずれはフツカヨイ的に赤面逆上、大混乱、苦悶のアゲク、「人間失格」「グッドバイ」自殺、イヤらしい、ゲッ、そういうものを書いたにきまっている。



62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:45:23.79 ID:KEm3lciQ0

太宰に影響を受けた文章は今でもウケるんだろうなあ
三島に影響を受けるとウケそうにもないけどさ



64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:47:09.83 ID:mEUkFtlb0

春樹は太宰系統じゃないのか



68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:49:02.71 ID:KEm3lciQ0

>>64
春樹は実は読んだことがないんだよなあ



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:47:11.24 ID:cpHgBmdT0

結局のところ太宰より共感できる作家なんていなかった



66:キュア坊主 ◆Ocure013Nwik :2012/06/10(日) 22:48:03.73 ID:xcJLKxdt0

懶惰の歌留多もいいよ
すっごいおしゃれ



69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:50:32.80 ID:KEm3lciQ0

>>66
ありがとう 君のオススメは特に信用しているよ
今までも非常に面白いものばかりだった



71:キュア坊主 ◆Ocure013Nwik :2012/06/10(日) 22:51:41.19 ID:xcJLKxdt0

太宰→イケメンリア充、高身長
三島→チビでコンプレックスの塊

ちなみに僕はゴテゴテに飾り立てた三島の文章が宮沢賢治の次に苦手です



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:56:07.65 ID:KEm3lciQ0

>>71
上から見た卑屈さと、下から這い上がってきた卑屈さの違いだろうか
俺むしろ三島の文章をゴテゴテだと感じた事がないんだよね
一般人が言葉に出来ない事を、一から十まで言葉にしているなあと思う



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:52:06.91 ID:mEUkFtlb0

三島も太宰もナルシストって意味では共通してるけどな



80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:56:07.65 ID:KEm3lciQ0

>>72
でもなんか違うんだよね



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:53:47.21 ID:KEm3lciQ0

なんかこれ心に来た


いまの私にとって、一日一日の努力が、全生涯の努力であります。
戦地の人々も、おそらく同じ気持ちだと思います。叔母さんも、これからは買い溜などは、およしなさい。
疑って失敗する事ほど醜い生きかたは、ありません。私たちは、信じているのです。
一寸の虫にも、五分の赤心がありました。苦笑なさっては、いけません。
無邪気に信じている者だけが、のんきであります。私は文学をやめません。私は信じて成功するのです。御安心下さい。



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:54:19.40 ID:n2ETsh9AO

最近過大評価され過ぎな感じがする作家ナンバー1
しかし駆け込み訴えはガチで凄い



83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:57:17.91 ID:KEm3lciQ0

>>77
俺は女生徒が好きすぎてもう



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:56:17.92 ID:LSZ9DrZVO

正義と微笑しか読んだことないけど好き



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 22:57:57.16 ID:KEm3lciQ0

>>81
読んでみるわ



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:02:05.92 ID:mEUkFtlb0

最近葉山よしきを青空で読んだ
セメント樽以外も面白い



91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:03:43.86 ID:KEm3lciQ0

>>88
この人も公開されてるのが少ないな
気負わずに読めそうだ、ありがとう



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:09:38.39 ID:cpHgBmdT0

まあぼくは赤毛のアンが好きです



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:10:46.40 ID:KEm3lciQ0

>>98
一つお伺いしたいのですが、下の毛も赤いんですか?



99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:09:46.06 ID:6iVx5ocn0

人間失格に共感出来た私は異端ですか?



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:10:46.40 ID:KEm3lciQ0

>>99
あえて突っ込まないぞ



106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:15:38.18 ID:KEm3lciQ0

実際現代で三島の影響を考慮しつつウケそうな文体を確立するというのは難しいのだろうか
女生徒のように簡単な文章で大部分を作り、所々に三島的な熱いレトリックを入れるのは微妙か



114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:21:06.05 ID:jcrfoalG0

文章という意味では谷崎と賢治が好きだな



118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:23:09.77 ID:KEm3lciQ0

>>114
俺も好きだ
谷崎さんは変態すぎる



115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:22:25.38 ID:b0Yd41LB0

太宰は売れないけど体はる芸人みたいで好きよ



120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:24:44.26 ID:Sn/NwErSP

日本文学の頂点と言える作品は
漱石でも芥川でも太宰でも谷崎でも三島でもなく
太宰がコケにした志賀直哉の「小僧の神様」だと思う

あんな完璧な小説はない



124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:27:42.00 ID:KEm3lciQ0

>>120
志賀直哉はマジで読んでみたい
今度神保町に行って古本の全集買ってこようと画策している



138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:35:50.12 ID:q3dHkWBV0

斜陽の母の描写が好き
あれは絶対いい人妻



143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:40:03.67 ID:KEm3lciQ0

こういう近代の人の文章を読んでいると小説家になりたくなる



155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:48:57.33 ID:SNI7Hrgti

太宰の書く女はいいよな



157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:49:38.37 ID:L0g9p0O70

>>155
ちょーわかるー



156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:49:13.38 ID:H/XS++MX0

太宰は「言語のリズムを通して意味を伝える」って点で不世出の大作家
言葉遣いは結構テキトーだけどむしろ正確緻密な文章よりもしっかり伝わってしまうマジック



161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:53:01.79 ID:nYGxhO0z0

人間失格は誰でも共感できる闇の部分って感じで良かったけど他は面白いと思ったことないな



163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:54:31.48 ID:jcrfoalG0

現代だと小川洋子が好き
小麦粉を水で溶いたような文章を書くねあの人は



167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:58:42.21 ID:KEm3lciQ0

>>163
ほうほう
探してみる



200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/06/11(月) 00:29:35.37 ID:mbIYbzfBP

今年上半期は三島がマイブームだった
太宰は高校の頃嵌ったな
図書室からパクッた女生徒が未だに家にあるw



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/10(日) 23:14:29.79 ID:jcrfoalG0

良くも悪くもいわゆる文豪の中では1番人間臭い文章を書く人だろうな






1 件のコメント:

  1. 嘘をつく時には誰もが真面目な顔をしているものさ!
    っていうのがいい
    太宰はメロスがやっぱ一番好きだな~
    御伽草子もいいけど

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